純粋なインディヘナは、植民地時代の征服者による酷使やヨーロッパから持ち込まれた伝染病によりカリブ海諸島の国々ではほとんど死に絶えてしまったが、それ以外の国や地域では今も広い地域で暮らしている。ただ、その割合は国により様々である。そのうちインディヘナの推定人口比率が比較的高いのは ボリビア(55%)、グアテマラ(50%)、ペルー(47%)、メキシコ(25%)、エクアドル(25%)といった国である。
短い紙面でその全てを語ることは到底無理だろうから、もし出来れば一度現地に赴き、インディヘナの人々の生活の様子を彼等の暮らしを乱すことなく見て欲しい。特にメキシコ、中米ではその生活様式、言語、風習の多様さに驚かされることと思う。宗教(祭りや儀式)、魔術、装束、食事・・・。比較的近年、メキシコ南部の村で子供の写真を何気なく撮った日本人観光客が襲われるという事件があった。そこでは肖像=写真を撮ることは魂を抜き取ることという考えが強かったため、村人たちが怒って石つぶてを投げつけたということである(これはツアーを組んだ旅行会社の責任大)。
現在の中南米のインディヘナの世界にも16世紀以降土着の神を否定しながらスペイン人が布教してきたキリスト教と共に21世紀の時代を表わすものが数多く見受けられるようになり、混血もますます進んで純粋なインディヘナの数は減り続けているが、いにしえの時代から受け継がれて来た様々な伝統は今も各地で息づいている。